風がそっと背中を押す道で
おはようございます。
認定司書を目指して講習受講予定の喜木凛(ききりん)です。
今日は、若葉のきらめく午後にぴったりの1冊とともに歩いた、ある春の日の“読書さんぽ”を綴ります。
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■ 音を感じる道で、風に背中を押されるように
春の終わり、風が心地よい季節になってきました。少し汗ばむ陽気の日もありますが、木々の間をすり抜けていく風が、そっと背中を押してくれるように感じます。そんな日に選んだのは、恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』。ピアノコンクールを舞台にしたこの物語は、ページをめくるたびに「音が聞こえるような小説」です。物語の中には、風のように自由な天才少年・風間塵(かざま・じん)が登場します。音楽とは、才能とは、人生とは……という問いかけが、登場人物たちの演奏とともに読者に届きます。
■ 道すがら見つけた“音”
本を持って、私は自宅近くの緑道へ。街路樹の葉がみずみずしく芽吹き、鳥のさえずりと、風が木々を揺らす音が重なって、なんだかひとつの交響曲のようでした。「音楽」と聞くと、ホールの中のピアノの音色を思い浮かべがちですが、日常のなかにも、たくさんの“音”があるのだと気づかされます。音楽は、風に乗って、どこへでも届く。『蜜蜂と遠雷』を読んでから、そんなふうに思うようになりました。
(ここから先は、読者限定部分です)※続きでは、2歳の娘との“音”をめぐる日常や、読み聞かせの中で出会った風のような時間を綴っています。